

脳梗塞の半身不随のことを知って、予防・再発防止に役立てましょう。

ニューロリハビリテーションとは、ダメージを受けて壊れた脳の運動回路を再構築しようという新しい治療方法。従来的な治療方法だと、自然回復以上のリカバリーは困難とされていたのが、脳内回路の再構築も期待できることがわかり、注目を集めています。脳科学を応用したリハビリのため、脳のメカニズムにも注目を浴びせその回復を図ることで麻痺の改善を目指す治療法。
何故、ニューロリハビリテーションが注目されているのかというと、中枢神経系の画像診断技術が発展してきたからです。例えばMRIをはじめとした機器がどんどん刷新化され、それと同時にニューロリハビリテーションの技術も発展していくようになりました。
ニューロリハビリテーションの効果的なところは脳の可塑性です。リハビリをすることで、脳の意識が変わり麻痺の改善がみられるということ。何故麻痺が改善するのかというと、麻痺をしている足を意識しながら動かしてリハビリを行うからです。例えば歩けない場合、麻痺した状態だと意識しなければうまく歩くことができません。そこで、「歩く」という動作をうまくやるために、麻痺の足に意識を向けて体重移動や、バランスをとって歩くコツを覚える。この繰り返しを行うことで、麻痺をした足の「歩く」を覚えます。このようなリハビリを反復的に行うことで、障害が生じた部位の働きを補おうと脳が変化して、機能が改善するというメカニズムになります。
通常のリハビリだと、リハビリをするための専用のルームで訓練を行う必要がありました。しかし、このリハビリは場所を選ばないのも特徴です。ベッドでも、洗面所でも、トイレでもどこでもリハビリをすることが可能です。また、中程度のうつもリハビリを行うことで解消されたという報告もあります。
このように、他のリハビリよりも脳を意識して動かすために良い効果が表れています。
今後さらに注目されていくリハビリであると言えます。
治療を必要とする患者は、運動回路のダメージによって運動マヒを起こしている人。実際の治療方法としては以下の2つを紹介しておきます。
鹿児島大学の川平名誉教授が長年の研究や臨床を経て考案したリハビリ方法。ダメージを受けた運動神経に、1セット50回の反復治療をすることで刺激を与えて、回路を再構築しようというものです。
この治療方法は、独自のものということではありません。脳科学の研究によって、促通反復療法が脳の可塑性を促進し、効率的に機能回復を進めることがわかりました。脳科学的な観点からみても有効性のある治療方法であるということがわかります。
1回50セットの反復治療が主なリハビリ内容になりますが、全員が同じリハビリを受けるということではありません。1人1人の症状に合わせてリハビリ内容が異なります。ここで、代表的なリハビリ内容を紹介していきましょう。
ここの指の動きを回復させるために行う運動50セットから100セットを継続的に行うことで、回復をはかります。
歩行訓練では、保通刺激を与えながら麻痺をしていない方の足を強化させることで、円滑な歩行をサポートさせる訓練があります。また、歩行訓練ではより効果的にするために電気刺激を併用しながら麻痺を改善する働きがあります。
振動刺激によって痙縮している箇所を抑制。これによって従来のような長いリラクゼーションは不要になって効果的に治療時間を過ごすことが可能です。
治療では、反復的にリハビリをするだけではなく、電気刺激や振動刺激を行うことで麻痺している箇所を改善させて、脳への刺激を高めていくのが特徴といえます。1人1人の症状に合わせて治療が行われるので、指示に従って治療を受けるようにしましょう。
関節や下肢など身体の動きをサポートするロボットスーツで、脳の信号を筋肉に伝達することができるサイボーグ型という点が大きな特徴です。例えば、「歩こう」という信号を脳が発信、それをスーツに伝えると動作を補助します。それを繰り返すことで、個人の歩き方をロボットが学習するといったサイクルで、動作がスムーズ化するわけです。
筋力が低下している高齢者や、障害者の人がロボットスーツを使用したリハビリを利用すると効果的であると言われています。また、将来的にはロボットスーツがこのような運動機能が低下した人たちの運動能力をサポートして、幅広い場所で活躍できると期待されています。
HALスーツは、現在様々な段階での開発が進んでいます。主にリハビリで注目されているのは、HALスーツ3です。このスーツは、主に下半身の動きをサポートするもので、運動機能が低下している高齢者に装着することで、リハビリのサポートになります。従来のものは、動きに制限がありましたが、最近開発されているHALスーツは、正座ができるまで精度が高くなっているので、さらに開発への期待ができます。
ロボットスーツHALでは、運動機能をサポートするだけではありません。リハビリのプラグラムをサポートしたり、筋力を測定したりと機械的な観点から、リハビリ患者の数値を割り出したりすることができます。また、関節可動域訓練、筋力維持訓練、立ち上がり・座り動作訓練など様々なプログラムに応用が利くので、今後も目が話せられない分野です。
それでは、ニューロリハビリテーションについてのメリット、デメリットについて紹介していきましょう。
メリットは先ほどにも紹介したように、通常のリハビリとは異なりどこでもできるというものです。
また、脳にも良い刺激を与えるので、高齢者の認知症予防にもつながります。継続的に続けることで、脳を活性化させるので、効果は運動機能を回復させるだけではなく、脳機能の向上にもつながるという期待があります。また、様々な方法があるので、好きなリハビリ方法を選択できるという自由度もあります。
脳卒中患者は、発症して6ヶ月以上経過してしまうとリハビリをしても効果があらわれないと言われてきました。しかし、そんな患者でもニューロリハビリテーションを受けて、くりかえしリハビリを行えば、麻痺を和らげることができることがわかってきました。通常のリハビリでは難しいと言われてしまった人でも根気よく通うことで改善することが期待できます。
促通反復療法(川平法)は、それまで難しかった運動回路の再構築を、反復治療によって可能性を拡げているのが大きなメリット。
ロボットスーツHALは、人間だけで行うリハビリだとかなりの練習量が必要となるところ、コンピュータの学習能力によってより早めの回復効果が期待できます。患者本人が動作を繰り返さなくても、脳や神経に学ばせることができるのは大きな優位性となるでしょう。
デメリットは次のようなものが挙げられます。
2つのリハビリのデメリットは、保険適用の疾患ではないということです。そのため、費用がかかります。また、この費用は継続的に必要になるため、期間が長くなるほど費用が重なっていくのがデメリットです。研究が進んでリバビリとして認められれば、保険適用がきくようになるかもしれませんが、それはもう少し時間がかかってしまうことだと理解しておきましょう。
ニューロリハビリテーションはまだ注目されてからの年数が浅いので、全ての病院で実施しているものではありません。リハビリテーション科でも行なっているところとそうでないところがあります。また、今回紹介されたリハビリ方法が必ずあるとは限らないので、どのようなリハビリを行なっているのか確認する必要があります。
場合によっては近所にそのような病院が無いという可能性もあるので、広い視野での病院探しが重要になります。
促通反復療法(川平法)の料金は27,000円で、これは保険適用対象外となります。かかる時間は個別治療が1時間、実技練習が1時間、計2時間となっています。
ロボットスーツHALによるリハビリの料金は自由診療の場合、20分のカウンセリングが2,000円、初回は30分の使用体験+電極代+評価・採型で計13,000円。2回目以降は1時間の訓練が16,350 円で必要に応じて電極代1,000円が加算されます。
情報参照元:治療NOTE公式HP