脳梗塞による半身不随を考えるサイト » 脳梗塞を繰り返さない…再発防止のためにできること » 脳梗塞を再発しやすい条件がある!?危険因子になり得るものとは?

脳梗塞を再発しやすい条件がある!?危険因子になり得るものとは?

脳梗塞は再発によって後遺症の症状が深刻化する

脳梗塞は最初の羅病よりも再発の時のほうが怖いと言われています。その主な理由は、次のように2つに分けられます。

  • 1回目の発症とは違う血管が詰まることでダメージが広がる
  • 1回目の発症で残った後遺症の症状がより深刻

脳梗塞が再発したときに厄介なことは、1回目の発症とは異なる血管が詰まる可能性が高いということです。そのため、再発では脳に与えられるダメージが広がることになり、1回目の発症で残った後遺症に加え、新たな後遺症が残る可能性が高いとされています。

また、1回目の発症の時に残った後遺症の症状がより深刻化することも多く、脳梗塞の再発によってQOL(生活の質)が著しく低下してしまうことが考えられます。

脳梗塞の再発リスクを上昇させる条件とは?

脳梗塞の再発には危険因子が存在するため、これからご紹介する危険因子を取り除いていくことで、再発率を低減させることも可能となるでしょう。

生活習慣病

生活習慣病とは、高血圧や糖尿病、脂質異常症、メタボリックシンドロームなどを含みますが、これらの症状が引き起こされる原因はその名の通り生活習慣の乱れです。生活習慣病は脳梗塞の最大の危険因子である「動脈硬化」を引き起こすため、動脈硬化が要因となる「アテローム血栓性脳梗塞」の再発率が一気に上昇します。

情報参照元:AViC公式HP

動脈硬化で脳梗塞の再発が起きる理由とは

一度脳梗塞を発症した方であれば、すでに動脈硬化の状態になっている場合も少なくないでしょう。動脈硬化になると、脂肪やコレステロールなどが血管壁に張り付き、血管が狭くなってしまいます。そのため、血液が血管中で留まりやすくなり、血栓を作り出す原因に。既に動脈硬化になっている脳梗塞経験者の方は、生活習慣病の治療を行って動脈硬化を改善することが再発予防の第一歩です。

生活習慣病を改善する方法

高血圧、高血糖、脂質異常などがある場合、それらひとつひとつを治療や医薬品で改善したとしても、根本的な原因となるものが改善されない限り、大元である生活習慣病は改善されません。再発の危険因子となる生活習慣病を改善していくためには、原因となる生活習慣を改善していくことです。この後でご紹介しますが、アルコール、喫煙、食生活、運動不足、ストレスなどが悪しき習慣とされています。

情報参照元:(PDF)厚生労働省公式HP

肥満

肥満は生活習慣病の原因となり、悪化のための要因にもなります。また、生活習慣病の大元である「メタボリックシンドローム」を引き起こすきっかけにもなるため、適正体重のキープは脳梗塞の再発を予防する上で欠かせません。

脳梗塞再発の危険因子としての肥満のリスク

肥満は、高血圧、脂質異常症、糖尿病と併せて、脳梗塞再発の4大リスクに数えられているほどのものです。臨床試験によると、これらの4つの危険因子のうち、3つを保有している場合、脳梗塞の発症率は5.06倍高くなると報告されています。この結果は脳梗塞の再発率ではなく発症率ですが、再発のリスクが高くなることに変わりはないでしょう。

情報参照元:(PDF)JSTAGE公式HP「軽症脳梗塞の発症早期における再発危険因子に関する実態調査」

肥満を改善する方法

肥満を改善する方法は皆さんご存知でしょうが、「食生活の改善」「運動習慣」の2つがポイントとなります。脂質や糖質が多い食品を避けた低カロリーの食事をして、運動によって消費エネルギーを増やしていくことで肥満を改善できます。

年齢

一般的に、年齢を重ねれば重ねるほど、脳梗塞の再発率は高くなると言われています。加齢は自分では対処できない危険因子ではありますが、加齢で再発率が高くなる原因としては次のようなものが挙げられます。

血管は人間の年齢とともに老化していくため、高齢になればなるほど動脈硬化が進行するため再発率が高くなります。また、60歳代までは生活習慣病が危険因子となり、その後の年齢では心房細動が増加することが要因です。

情報参照元:(PDF)JSTAGE公式HP「高齢者脳卒中の現状に寄せて 1.高齢者の脳梗塞」

加齢によって後遺症の症状も悪化

加齢による脳梗塞の再発が危険だとされる理由に、脳梗塞初発時の予後が不漁になることにより、後遺症症状が悪化しやすいことが挙げられます。体力が低下しているため死亡者も増加する傾向ですが、後遺症の症状が重くなりやすく、誤嚥性肺炎のリスクが高まることも危険だとされる理由です。

心房細動

心房細動とは不整脈の一種で、心原性脳塞栓症の再発要因となる疾患です。心房細動では心臓の中で血栓が作られますが、その血栓が血液によって流されて脳まで到達し、脳の血管を詰まらせてしまうことがあります。脳梗塞の発症や再発の原因となりやすいのは、心房細動の中でも「非弁膜症心房細動」と呼ばれるもの。非弁膜症心房細動は年齢とともに増加する傾向がありますが、非弁膜症心房細動患者の脳梗塞発症率は、毎年約5%という高確率だとされています。

情報参照元:先進医療.net公式HP

心房細動は「ESUS」の原因になる

心房細動による脳梗塞再発は「心原性脳塞栓症」以外に、「ESUS」という血栓が作られた場所が特定できない脳梗塞の再発危険因子にもなっていると考えられています。ESUSを引き起こすのは、「発作性心房細動」という一般的な検査では判別できない心房細動です。また、「大動脈原性脳塞栓症」も心房細動が原因だとされています。

情報参照元:NO!梗塞.net公式HP

心房細動による再発リスクを低減するには

1回目の脳梗塞が心原性脳塞栓症であった場合や、脳梗塞の原因が不明であった場合、検査で大動脈をチェックをすることが大切です。大動脈の動脈硬化進行具合を確認して、検査結果に合わせた対応をしていくことになります。

喫煙

喫煙はどのような疾患の羅病率も高めますが、特に脳梗塞再発の危険因子としては有名でしょう。喫煙は脳梗塞発症と再発の確率を直接的に底上げするもので、禁煙をしただけでその確率はぐっと下がります。これはタバコの中に含まれているニコチンに血管収縮作用があるためで、ニコチンによって血管が狭くなることによって血栓が作られやすくなります。

喫煙した場合の脳梗塞発症率について

喫煙をしている40~59歳の男女461,761人を対象に調査した結果、喫煙をした場合、脳梗塞の発症率は次のように上昇すると報告されています。

発症率
男性 女性
全脳卒中 1.27 1.98
脳梗塞 1.66 1.57
脳出血 0.72 1.53
くも膜下出血 3.60 2.70

出典元:(PDF)一般社団法人 日本脳卒中学会公式HP

このように、喫煙は明らかに脳梗塞の発症率を高めるため、再発の危険因子としても重要なものです。

喫煙による再発リスクを低減するには

喫煙による脳梗塞の再発リスクを低減させるためには、やはり禁煙をするしか方法はありません。ですが、男性の場合は特に、喫煙の本数によって脳梗塞発症率は高まるため、本数を減らすだけでもある程度のリスク回避が可能です。ですが、見事禁煙に成功したとしても、受動喫煙も脳梗塞の危険因子となるため、タバコの煙に接することを避けなければなりません。

情報参照元:(PDF)一般社団法人 日本脳卒中学会公式HP

飲酒

飲酒は喫煙とは違い、少量のアルコールであれば脳梗塞の再発率を低くすることができるとされています。ですが、やはり大量のアルコールを継続的に摂取していると、脳梗塞再発の危険因子になり得るものなので、飲み過ぎに注意して、嗜む程度に楽しむことが大切です。

脳梗塞再発リスクを低減するアルコール量

少量のアルコールによって脳梗塞の再発率が低くなるのであれば、気になるのは「少量とはどの程度か」ということでしょう。基準としては1週間で純アルコール量にして149mgまでと報告されています。149mgの純アルコール摂取とは、缶ビール350mlで換算すると1週間に6本程度となります。1日1本、週に1日休肝日を設ける程度がちょうどよいアルコール量です。

情報参照元:先進医療.net公式HP

飲酒による脳梗塞発症確率について

少量であれば再発予防につながる飲酒ですが、純アルコール摂取量が度を過ぎると、脳梗塞の再発リスクは一気に高まります。例えば、1週間に350mlの缶ビールを18本、純アルコール量に換算して450mgを摂取した場合、脳梗塞を含めた脳卒中の発症率は65%増加すると言われています。

情報参照元:先進医療.net公式HP

ストレス

日常のストレスも脳梗塞再発の危険因子となるため、できるだけ精神的に穏やかな生活を送ることが重要です。ストレスが危険因子となるのは、ストレスがかかることによって血圧が高くなるため。血圧が高くなれば血管に負担がかかり、動脈硬化が進行するリスクが高まります。ストレスは血圧を上昇させるホルモンを分泌させるため、血管をいたわるためにもストレスをうまく発散させましょう。

情報参照元:国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス公式HP

ストレスはたこつぼ心筋症から脳梗塞発症の原因にも

たこつぼ心筋症とは、ストレスが原因となって心臓に障害が発生する疾患です。たこつぼ心筋症になると、心臓の根本以外が動かなくなってしまうため、心臓の奥の部分に血液が溜まって血栓が作られる可能性が高まります。そして、心臓で作られた血栓が脳に流れ込んだ場合、脳梗塞の再発に繋がってしまうのです。そのため、血圧だけでなく、ダイレクトに脳梗塞の危険因子にもなり得るのがストレスです。

情報参照元:国立循環器病研究センター 循環器病情報サービス公式HP

家族歴

近親者で同じ疾患に罹っていると、家族もその疾患に罹りやすくなるという場合、家族歴が関係する疾患だということになりますが、脳梗塞に家族歴は関係しないという研究結果が報告されています。ですが、高血圧や動脈硬化には家族歴が関係するとされているため、結果的に脳梗塞に家族歴があるとも言えるでしょう。さらに、脳梗塞の家族歴は、発症率や再発率だけに関係するものではありません。

情報参照元:循環器疫学サイト epi-c.jp公式HP

情報参照元:(PDF)洛和会ヘルスケアシステム公式HP

脳梗塞の家族歴は発症の際の死亡リスクを高める

脳梗塞の家族歴を持っている場合、脳梗塞を発症した際や再発した際の死亡リスクが高くなると報告されています。具体的な死亡リスクについては次のとおりです。

死亡リスク
男性 女性
脳卒中 1.38 1.08
脳内出血 1.16 1.87
虚血性脳卒中 1.68 0.74

出典元:循環器疫学サイト epi-c.jp公式HP

このように、特に男性では脳梗塞を含む脳卒中の死亡リスクが高くなるため、高血圧や動脈硬化に対してより一層の注意が必要です。

脳梗塞再発予防には「治療薬」と「生活習慣改善」が不可欠

脳梗塞再発の危険因子となる8つの項目をご紹介しました。加齢などの致し方ない危険因子もありましたが、ご紹介したもののほとんどが生活習慣に関係するものです。脳梗塞の再発予防には、病院で処方される治療薬による予防も重要ですが、根本的な脳梗塞発症要因である生活習慣の乱れを改善することも必要でしょう。脳梗塞の再発は回数を重ねるごとに後遺症が重症化し、危険性が増すものです。危険な再発を未然に防ぐためにも、ご紹介した危険因子を失くしていけるように生活習慣の改善を試みて下さい。