脳梗塞の半身不随のことを知って、予防・再発防止に役立てましょう。
脳内の血管が詰まって引き起こされる脳梗塞。発症すると脳の損傷箇所によっては半身不随になり、予後の生活にも大きな影響が出てしまいます。脳梗塞を予防したり、脳梗塞発症後の回復をサポートしたりするのにオススメの漢方についてご紹介します。
漢方医学は、中国古来の中医学をもとに日本で用いられてきた療法です。陰陽五行説に基づいて、体質を虚証と実証に、症状を陰病と陽病に分類して漢方薬を処方。五臓六腑の作用を整えることが基本です。比較的副作用が少なく、体質改善によって緩やかに症状を改善していくことが漢方の大きな特徴です。
脳梗塞は、血管が詰まる病気です。血管が破れて出血してしまえば脳出血やくも膜下出血になり、重篤な後遺症が残ってしまいます。脳梗塞は、動脈硬化やドロドロ血液が原因となっているため、一度発症し完治しても、再発することがあり、繰り返すごとにひどくなるのが特徴です。
そのため、漢方で体質を改善し、動脈硬化を再発しにくい身体に導いてあげるといいでしょう。また、脳梗塞で後遺症が残った場合には、ダメージを受けた神経細胞の修復や、脳細胞の修復を助けるために、血流改善や脳へ良質な栄養素を運べるよう漢方でサポートしてあげることも大切です。
脳梗塞など脳血管障害の後遺症に用いられることのある漢方薬には、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や釣藤散(ちょうとうさん)、柴胡剤(さいこざい)、駆瘀血剤(くおけつざい)などがあります。
柴胡剤(さいこざい)は、黄連解毒湯(おうれんげどくとう)や駆瘀血剤(くおけつざい)との併用で、脳梗塞の後遺症で見られることのある痺れや痛みに効果があると考えられている漢方です。痛みや痺れは、東洋医学では肝気の上昇や、瘀血が原因と考えられています。
柴胡剤(さいこざい)は小柴胡湯や柴胡桂枝湯、大柴胡湯などという漢方の総称で、抗炎症作用がある漢方です。柴胡剤に含まれるサイコサポニンには、抗炎症作用があることがその理由として考えられ、脳梗塞による痺れや痛みを緩和する作用が期待されます。
サイコサポニンは強力な抗炎症作用がプレドニンと同様杭肉芽,抗滲出作用ともにあり,中国柴胡,和柴胡(九州)は抗肉芽作用, 抗滲出作用で大差なく有効である
脳血管障害後遺症にともなう「痛み・しびれ感」の発生機序は,西洋医学的には未だ解明されていない。〜中略〜改善例における有効処方の解析では,柴胡剤と黄連解毒湯あるいは柴胡剤と駆瘀血剤の併用が有効であった症例が多く,いわゆる二証の併存(併病)がこの病態を特徴づけるもののようである
黄連解毒湯(おうれんげどくとう)は、体の上部にこもった熱を冷やして炎症を鎮める漢方薬です。
顔面症状に他の漢方と合わせて使った際に効果があったことが報告されています。黄連解毒湯と柴胡剤を併用して処方されることもあるようです。
「痛み・しびれ感」の部位と有効処方との解析では,顔面の症状に対しては黄連解毒湯と多剤との併用が有効
また、黄連解毒湯には、脳の血流を増加させ、神経伝達物質に作用、脳の虚血保護作用などもあることが最近の研究で明らかになっています。
現在, 脳血管障害後遺症による諸症状や各種痴呆に対して有効性が報告されている漢方方剤を表1に示した. 黄連解毒湯, 抑肝散, 抑肝散 加陳皮半夏, 釣藤散などはその成分中に脳血流増加作用,神経伝達物質に対する作用, 脳虚血保護作用などを有する物質が含まれていることが最近解りつつあり, 脳血管障害の治療薬として役立ち得ることが科学的に解明されつつある. その中のひとつである黄連解毒湯 (TJ-15) は唐時代より 「のぼせ」「いらいら」などの脳血管障害特有の症状に使わ れており, 長谷川 ら, 荒木ら, によって行われた脳血管障害患者に対する多施設臨床試験において, 広く使用されている脳 循環代謝改善薬と同程度の改善率を示している.
駆瘀血剤(くおけつざい)は、桂枝茯苓丸や桃核承気湯などの漢方薬をまとめた総称です。頭痛や肩こりなどに効くと言われると同時に、循環器疾患にも使われることがあります。こちらも、柴胡剤と併用して、脳梗塞の後遺症の治療に処方されることがあるそうです。
抑肝散 (よくかんさん)は、当帰や川芎などが配合された漢方生薬です。黄連解毒湯と同じく脳の血流量を増加させる作用や神経伝達物質に対する作用があり、脳虚血保護作用もあることがわかっています。
続命湯 (ぞくめいとう)は脳卒中が発症し、半身不随や言語障害などの後遺症が残った場合に用いられる漢方薬として知られています。続命湯 (ぞくめいとう)は当帰、甘草、人参、桂枝、麻黄などが配合されています。発作後早い段階から服用を始めることで、脳梗塞の後遺症からの回復をサポートしてくれたり、生活の質(=QOL)の低下を予防したりする作用があるとも言われています。
脳梗塞により血流の悪化がある方にとって、血流改善やしびれ、麻痺などを緩和する作用を持つ当帰や桂皮などが配合されている続命湯 (ぞくめいとう)はぜひ試してみたい漢方です。
続命湯(TJ-8007)は古来運動知覚障害,言語障害,顔面神経麻痺などの脳血管障害後遺症に対して用いられてきた方剤であり,臨床における本剤の有用性については藤平らの報告により諸家のよく知るところとなっている。 〜中略〜 TJ-8007の海馬選択的細胞開始保護作用.偽手術を行ったスナネズミの海馬CA1領域錐体細胞数は174±8.8/mmであったが,4分間の虚血侵襲を受けたスナネズミのCA1細胞数は偽手術群の13.2%にまで減少した。〜中略〜連続投与によりTJ-8007の神経保護作用は増大するものと考えられた
冠元顆粒(かんげんかりゅう)は、生活習慣病の予防に血流を良くするというアプローチで作用する漢方薬です。還元顆粒を投与したラットは、血圧の上昇が抑制され、脳卒中の発症率や死亡率が低下したことが報告されています。また、血液をサラサラにする作用もあるなど、脳梗塞予防には嬉しい作用を持っている漢方薬と言えるでしょう。
脳卒中易発症系高血圧自然発症ラット(SHR-SP)は,高血圧の進展とともにその95%以上が脳卒中病変を発症するモデルとして最適のものであり,世界各国で広く用いられている。我々はSHR-SPを用いて,生薬の丹参を主薬とする水製エキス漢方製剤である「還元顆粒」の投与により血圧上昇を抑え,血液および尿中NOの代謝産物を増加させ,脳卒中発症率と脳卒中による死亡率の低下を報告した出典: (PDF) 「漢方成薬による治未病をめざして―「冠元顆粒」の脳卒中予防機序に関する分子医学的研究―」日本未病システム学会雑誌,7(1),2001 [PDF]
漢方以外にも、自宅でできる脳梗塞からの回復や対策はいろいろあります。例えば、動脈硬化の原因となるドロドロ血液をサラサラに戻すことは、脳梗塞の再発を予防するための根本対策として有効です。
血液をサラサラにするためには、消化酵素や食物酵素、代謝酵素など役割の異なる酵素を丈夫に味方につけるのがオススメです。どんな方法があるのかを詳しく解説します。