

脳梗塞の半身不随のことを知って、予防・再発防止に役立てましょう。

ラクナ梗塞は目立った症状が出にくいため隠れ脳梗塞と呼ばれ、症状は以下の3種類に分類されます。
一方の手足がしびれたり顔面のマヒなどが見られます。触った物の温冷やケガに対する痛さがわかりにくくなることもあります。
これらは身体的な安静状態である就寝中や寝起きの際に起きて、それらは少しずつ進行します。
呂律が回らなくなったり、発言や聴き取りがうまくいかなくなります。身体の片方に運動障害や感覚障害が出ることがあります。
体内で複数箇所、血管の詰まりが発生している時の症状です。
症状が出ないものの、細い血管では詰まった状態が起きているケースです。
なお、ラクナ梗塞の後遺症としては独自のものというより脳梗塞のそれと同様、神経障害や高次脳機能障害、感情障害といった症状が残ることがあります。
ラクナ梗塞は脳の血管の詰まりでも、それが細い血管で起きているもの。原因は高血圧に伴う動脈硬化で、圧力の高い血流が血管内壁にダメージを与えることで、その箇所が硬化していくわけです。動脈硬化によって血管は狭まってしまうため、より血流が悪化して脳梗塞に至るのです。
ラクナ梗塞は、初期症状が出ない場合も実は多い脳梗塞です。
高齢の方の場合、寝たきり生活や老化による症状と勘違いされることもしばしば。また、中高年世代の方でも、健康診断や人間ドックで発見されることも多い病気です。
ラクナ脳卒中,ラクナ症候群が軽微な場合,高齢者ではその発症に気付かれにくいことも多い.特に生活に支障をきたすほどのものでなければ,年のせいや廃用性変化で済まされてしまう.例えば,視床梗塞によって異常感覚が指,手掌,同側口角周囲にみられる手口感覚症候群も見逃されやすい24).また,疾患の累加によって他の疾患による症状に隠蔽されうることも高齢者の特徴である. 一方,ラクナ梗塞の多くは無症候性と考えられているが,これが多発すれば(ラクナ状態:etat lacunaire)累加し,歩行困難,仮性球麻痺,錐体路徴候,錐体外路徴候,認知症などを呈するとされる
無症候性のラクナ梗塞は脳ドックにおける MR 検査でしばしば発見される.ラクナ梗塞の存在は,後に発生する重篤な脳梗塞と関連が指摘されているため,その検出は重要である.しかしながら,加齢による正常な脳組織の委縮による血管周囲腔拡大などとの鑑別が困難であるため,すべてのラクナ梗塞を正しく検出することは難しい
出典:(PDF) 「テンプレートマッチングを用いたラクナ梗塞検出のためのコンピュータ支援診断システムの改良」医用画像情報学会雑誌,30(2),2013[PDF]
細い血管が詰まって起こるラクナ梗塞の治療は、高血圧で再発することが多いため、血圧コントロールが大切。また、血液がドロドロになり、固まりやすくなってしまえば、脳梗塞を再発するリスクが高まるため、水分不足にならないよう、こまめな水分補給を促されることもあります。
薬によるラクナ梗塞の治療としては、抗血小板剤(アスピリンなど)が用いられます。
連続切片の詳細な検討から脳実質を穿通する小動脈の狭窄性病変が梗塞の原因であること,また,この狭窄性病変が高血圧と関連していること,さらには臨床病理学的な検討からこの梗塞巣がラクナ脳卒中,ラクナ症候群の責任病巣である 〜中略〜 ラクナ梗塞の予防には高血圧の治療が不可欠であり,近年の降圧療法の普及に伴い,わが国に多かったラクナ梗塞は特に男性で減少した
ラクナ梗塞では忍容性があれば130/80mmHg未満を目指すという降圧目標が推奨されている。 〜中略〜 ラクナ梗塞の再発予防にも抗血小板薬の使用が勧められる(グレードB)。ただし十分な血圧のコントロールを行う必要がある。〜中略〜ラクナ梗塞既往患者を対象に2003年から2011年にかけて海外で施行されたSPS3試験において、平均3.7年の観察期間中の全脳卒中発症率は、目標収縮期血圧130mmHg未満の患者群では同130〜149mmHgの患者群に比し、統計的に有意差はなかったものの、全脳卒中発症は19%抑制され、特に脳出血は前者で後者に比し有意に、63%も抑制されていた。
ラクナ梗塞は、梗塞範囲が小さいことなどから症状は軽く済む場合が多いと言われています。しかしながら、ラクナ梗塞の方や既往歴のある方が高血圧になってしまうと、脳血管が分厚くなり、血管の管の大きさが小さくなってしまいます。結果的にラクナ梗塞発症後は、脳出血や脳卒中が起こりやすいと考えられているため「ラクナ梗塞は症状が軽いから」と過信は禁物です。
また、ラクナ梗塞は症状がない/気づかれない場合も多い一方で、高齢者の場合歩行困難や認知症、パーキンソン病、排尿障害、嚥下障害などの原因になることも。
梗塞そのものの後遺症以外にも、こうしたラクナ梗塞が病巣となる症状には十分な注意が必要です。
ラクナ状態はしばしば深部白質のびまん性虚血性病変(主に脱髄)が随伴してみられ,定型的なものでは認知症,パーキンソニズム,嚥下障害,排尿障害など,いわゆる老年症候群の責任病巣ともなりうる25).これは画像上,leukoaraiosis として描出され,その成り立ちの一つにラクナ梗塞と共通する病因・病態が示唆されている25)
ラクナ梗塞に分類されるのは、脳の血管のうち直径が1.5cm未満の梗塞が発生している状態。それより大きな梗塞はラクナ梗塞ではなくなります。日本人はもともと細めの血管で動脈硬化が起きやすい人種ともいわれていて、ラクナ梗塞は脳梗塞の全体の35%程度の割合。このパーセンテージは、かつて群を抜いて多いものでしたが、近年は別ページで紹介しているアテローム血栓性脳梗塞の患者も増加傾向にあり、両者の差は縮まってきています。
なお、ラクナ梗塞と診断された場合でも90%前後のケースでは退院できていて、死亡に至ることはあまりありません。早めの処置がポイントで、症状がわかりにくいとはいえ、より深刻な脳梗塞に至る前に医療機関にかかることが重要です。
情報参照元:社会福祉法人恩賜財団済生会公式HP