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アテローム血栓性梗塞

アテローム血栓性梗塞の症状

アテローム血栓性梗塞は、脳の血管のうちどの部位が詰まってしまったかによって症状は以下の4種類に分類されます。

中大脳動脈の詰まりによる症状

普通に話すことができなく、相手の言っていることも理解できなくなります。顔面や皮膚の感覚、そして一方の手足などにマヒが起こったり、意識障害が起きることもあります。

脳底動脈の詰まりによる症状

眼球の動きに関する障害や意識障害が起きます。両手足がマヒすることがあります。

内頸動脈の詰まりによる症状

身体の片側で運動障害感覚障害が起きます。一方の目の視力が一時的になくなることがあります。

会話をしようとしても、相手の言葉が理解できなかったり、言いたい言葉が出てこないなどの症状が見られます。

椎骨動脈の詰まりによる症状

吐き気や嘔吐、目まいなどの症状が見られます。飲食物が飲み込めない、うまくしゃべれないなど、舌や口の動きに異常が起きます。

なお、こうした症状の多くは就寝中に発生するケースが多いようです。

アテローム血栓性梗塞の原因

アテローム血栓性梗塞の原因とされるのは、アテローム動脈硬化でもある粥状動脈硬化です。これは、悪玉コレステロールが血管の壁の中に入ってしまって、ドロドロの固まりができてしまう動脈硬化の一種。このドロドロの固まりが粥腫(じゅくしゅ)であり、アテロームもしくはプラークともいいます。

この状態を放置しておくと固まりは大きくなり、血管内部を狭めてしまいます。それに伴って血液の流れが阻害されることで、動脈硬化に至るわけです。

また、血管がこのような状態で、高血圧になってしまうと、固まりができている部分に負荷がかかって、内壁が破れます。血管はそれを治そうとするわけですが、いってみればかさぶたのような固まりになるため、これも血流の悪化につながります。この血管修復時にできる血液の固まりは血栓と呼ばれるものです。

こうした状況は生活習慣病ともいわれる高血圧や高脂血症、糖尿病などによって起きやすくなるのも注意すべきポイントです。

アテローム血栓性梗塞の初期症状

脳血管の中でも、比較的太い動脈に血栓が付着し血管が詰まるアテローム血栓性梗塞は、血管が詰まった場所により症状は異なります。初期症状としては、心原性脳梗塞と同じく、片目が見えなくなる、顔面麻痺が片側におこる、片側の手足の運動麻痺、ろれつが回らない、めまい、吐き気、嘔吐などが挙げられます。

アテローム血栓性梗塞は、心原性脳塞栓症よりは症状が軽いことが多い一方、ラクナ梗塞よりも重くなりやすい脳梗塞です。また、発症する時間帯としては起床時や睡眠時に起こることが多いのも特徴の一つです。

異変を感じたら、一刻も早く最寄りの病院で診療を受けましょう。

出典: 国立循環器病研究センター|循環器病情報センター「脳卒中」

アテローム血栓性梗塞の治療法

アテローム血栓性梗塞の治療は、rt-PA静注に加え、抗血小板剤や抗凝固剤などを使った薬物療法が主流です。また、発症後は抗炎症作用のあるアルピリンなどの服用も勧められています。

アテローム血栓性梗塞,ラクナ梗塞は当初軽く見えても進行することが多いので発症早期に搬送された場合症状が軽くても使用すべきと考えられる.しかし rtPA静注療法単独では再増悪することが多く当初から神経保護薬,抗血小板療法,抗凝固療法,内皮保護薬などとの併用が必要であると考えられる.また脳主幹動脈の閉塞,及び狭窄を伴うアテローム血栓性梗塞では rt-PA 静注療法が無効の場合,脳血管内治療の追加も考えるべきである.

出典:(PDF) 「重症度および病型に応じたrt-PA静注療法に関する治療戦略」脳卒中,30(5)2008 [PDF]

rt-PA静注療法は、脳卒中発症後4.5時間以内に採用される治療法です。薬剤(アルテプラーゼ)を10%は急速に、残りの薬剤は1時間かけて静脈内に投与する治療法です。rt-PA静注療法は、脳卒中発症から治療開始が早ければ早いほど予後がいいことがわかっています。こうしたことからも、アテローム血栓性梗塞を発症した場合には、一刻も早く病院に行き、治療をスタートすることが大切となるのです。

アルテプラーゼ静注療法は、発症から 4.5 時間以内に治療可能な虚血性脳血管障害患者に対して行 う【エビデンスレベル Ia, 推奨グレード A】。発症後 4.5 時間以内であっても、治療開始が早いほど良好な転帰が期待できる。このため、患者が来院した後、少しでも早く(遅くとも1時間以内に)アルテプラーゼ静注療法を始めることが望ましい

出典:(PDF) 脳卒中治療ガイドライン|rt-PA(アルテプラーゼ)静注療法 適正治療指針」2012 [PDF]

こうした薬物療法に加え、アテローム脳梗塞の程度によっては、バイパス手術や頸動脈剥離術などの外科的治療が用いられることもあります。

もし起きてしまったら…後遺症などの心配はある?

アテローム血栓性梗塞は、発症初期には症状が軽かったとしても、その後進行し重篤な症状に陥ることの多い脳梗塞です。動脈硬化が原因として引き起こされるため、心筋梗塞・歌詞閉塞性動脈硬化症などが合併することもあると言われています。

発症後の回復には早期治療開始が大切であることは、先程ご紹介した通りです。

万が一発症した場合、心原性脳塞栓症と同じく、治療開始が遅れれば後遺症が残るリスクは、最悪の場合命を落とすことも。

再発を繰り返してしまえば、後遺症が起こる確率は高くなり、言語障害や運動障害、感染症リスクの増大なども高まります。

再発予防のためには、血圧コントロールや生活習慣の改善、肥満の改善なども非常に大切です。再発予防のために、血液を固まりにくくするお薬が処方されることも多く、再発予防のためにはきちんとこうした薬を服用することも大切です。

アテローム血栓性梗塞の脳梗塞のうちに占める割合

アテローム血栓性梗塞は脳梗塞の全体の30%程度の割合。近年は別ページで紹介しているラクナ梗塞とも大きな差がないほどのシェアを占めています。

情報参照元:社会福祉法人恩賜財団済生会公式HP 

情報参照元:公益財団法人日本医療機能評価機構Minds公式HP